9月11日と夜来香
こんにちは。千歳烏山駅前の石材店、大久保石材店のデコさんです。
22年前の9月11日、ショッキングなテレビ映像に足がすくんだことを覚えています。米同時多発テロ。
友人の一人は、「あの日を境にして世界は変わった。不気味な世の中になったわね」と言います。
戦後の高度成長、豊かになった日本、人類皆兄弟と笑っていたころが懐かしい。
それでも、わが街の、このエリアは人類仲良く助け合っています。
向かいの中華料理店は、中国福建省出身の御主人と台湾出身の奥様が30年も営業しています。店先は芳香のする花や植木で埋め尽くされています。
中でもイエライシャンの花は珍しく、特別な香りがします。
その昔、山口淑子さんの歌のタイトルになった花です。
本国では50メートル先まで香りが届くらしいのですが、この商店街では難しいですね。
それでも店の駐車場は朝まで甘い香りが残っています。
挿し木で増やせるので、植木を隣近所におすそ分けしてくれます。
絨毯屋のイラン人のマジードさんも自国の干しイチジクやザクロジュースを体にいいからと差し入れしてくれます。
くだんの友人が続けます。
「その時に、これからは有事の金だと思ったわけ。それで茅場町まで行って、重かったけど買ってきたのよ。
でもまさか、こんなに高騰するなんて思わないから、途中で売っちゃったの。損しちゃった!」
そうですか。買って損したのですね。
それでは、買うことのできなかった我が身は損しなかったということですね。ラッキーでした。
世の中の喧騒はどこ吹く風、今宵もイエライシャンはとろけるような香りを運んでくれます。